2030年のタイムカプセル

つまらない大人にはなりたくない。

「寄り添う」ことの難しさ



 久しぶりにホスピスボランティア仲間と飲んだ。僕を含め男ばかり4人。僕らはみな最近、少しだけ迷っていた。

 現在僕達のホスピスに登録しているボランティアは約100人。全体的に男のボランティアは少なく1割程度。僕が活動を始めた8年前は男は3人だった。

 ボランティアを始める動機はさまざまだが、男性の場合は会社を定年退職して新たな生きがいをボランティアに見い出す場合と、身近な人をがんで亡くした場合がきっかけとなることが多い。僕もその一人だ。

 ホスピスに入院する人たちの男女比は4:6で女性が多い。患者さんの身の回りの世話などは女性の方が上手にできるので、男ができる活動にはどうしても限界がある。女性の患者さんの買い物でも男には難しいことが多い。ボランティア仲間で奥さんをホスピスで看取ったカタオカさんは、5年前にはバーのお客さんの一人だった。数カ月をホスピスで過ごしたカタオカさんでも「患者さんとのかかわり方には悩む」とため息をつく。

 ホスピスボランティアを始めるに当たっては週1回、2カ月間の研修が必要となる。そこで一番大切なのは「寄り添う気持ち」だと教えられる。「何かをする」のではなく、「ただ、そこにいっしょにいる」ことの方が大切だという。

 ホスピス発祥の地、イギリスのホスピスで研修を受けた医療スタッフから聞いた話がある。そこのホスピスには、病室で本を読むボランティアがいたそうだ。患者さんのために読み聞かせるのではない。ただ「読書している人」として病室に座っているのだそうだ。患者さんと話をするわけでもない。

 患者さんは最初、そのボランティアを見て「この人はなんだろう」と思うそうだ(それはそうだろう)。しかし、だんだんその状況に慣れて、気持ちが落ち着いてくるそうだ。常に気を使ってくれる他人の存在は、ありがたい一方、時にはわずらわしくなるもの。他人がいるとつい自分の気持ちをぶつけてしまい、それに傷ついてしまう人もいるだろう。だけど本当は独りぼっちにはなりたくない・・・そんな人たちにとってこの「ただ読書するボランティア」は、とても癒しを与える存在だったのだという。

 だけど現実的に、そんなことができるものだろうか。「ただそこにいる」だけで癒しを与える存在になれるだろうか。


 男4人でそんなことを語らい、夜はふけていった。


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テーマ:暮らし・生活 - ジャンル:ライフ

  1. 2007/10/22(月) 13:05:36|
  2. ヤマアラシのジレンマ
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