2030年のタイムカプセル

つまらない大人にはなりたくない。

ブログのネタのためなら……


 3日間の出張からの帰路。疲れたがそれなりに手ごたえを感じて東京駅から中央線に乗り換えた。でかい荷物を「よっこらしょ」と足元に置き、座席を確保した。

 新宿で乗ってくる乗客が多く、にわかに車内は混んできた。僕の前に女子大生風の二人連れが立った。大柄で髪の長い子と小さくてショートカットの女の子。小さい彼女が、背伸びしてアルミ製のアタッシュケースを網棚に乗せようとしたが、ちょっと身長が足りず、カバンは網棚には届かずに僕の頭のてっぺんを直撃。

 まじ、痛かったです(涙)。

「あ〜〜〜!! すいません!!」

 背の高い連れの子といっしょにあやまってくれた。

「ああ……大丈夫です」と答えた。この場合、ほかに言いようもなかったが。

 ちょっと眠気が襲ってきたが、「この前、ブログでさぁ……」という会話が聞こえてきて目を開ける。最近『ブログ』という言葉に敏感になっている。どうやらこの二人はブロガーだったようだ。

 小さい彼女が「最近、ネタ切れになってきてさぁ」と言った。耳をダンボにしていると、近々サークルのコンパか何かがあるらしい。
 背の高い連れが「何人ぐらい集まるの?」と聞いた。
「う〜んと、40人ぐらいかな」
コンパでネタ探せばいいじゃん」
「そうだね」

 その時、小さい方の彼女(カバンを落とした方=別に根に持ってはいませんが……)が突然、

「あ゛あ゛あ゛〜〜〜〜!!!」
 と叫び声をあげた。

 「ど、どうしたの?」という連れの呼びかけも耳に入らない様子で、カバンから手帳を取り出し、ページを繰り始めた。「ヤバイ、超ヤヴァイ」とおろおろ声になりながら。

 やがて先ほどの連れの問いに応じ「コンパの店、予約するの忘れてた……」と言った。

 電車は吉祥寺に到着。小さい彼女はここで降りた乗客に代わって僕の隣に座り、頭を抱えた。

「どうしようどうしよう……」

 背の高い連れの「彼氏に何とかなる店あるか、聞いてみようか?」という声もろくに聞いていない様子だ。
 少しの沈黙の後、小さい彼女は「でも、このまま店決まらなかったら、ブログのネタとしてはおいしいかもだね」とつぶやいた。

「……………」とあいまいな笑みを返す連れの彼女。

 (もしもしお嬢さん、そんな自虐的なブログ生活では友達なくすよ)

 僕は心の中で突っ込んだが、電車が自分の駅に着いたので席を立った。

 だから、彼女がどういう行動に出るつもりかは知らない。



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  1. 2007/11/02(金) 19:06:31|
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  1. 2007/11/23(金) 08:25:14 |
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